『ただのいぬ。展in島根』のご報告。
共同で主催した生活工房さまのブログ。展示内容の詳細が記されています。
ただのいぬ。プロジェクトvol.4 『ただのいぬ。展in島根』
http://www.setagaya-ac.or.jp/ldc/modules/blog/details.php?blog_id=39
あまりにも上手にまとめてあるので、転載すればいいかしら、なんて思っていたのですが、自分のケジメ(!)としても、キチンとご報告しなければ、と思い、私なりにまとめてみました。どうぞ、お読みくださいませ。
●ただのいぬ。の部屋
思わずにっこりしてしまう、かわいらしい子犬たちの写真が並びます。「動物愛護」の写真展だと知らずに来場された方は、一様に「かわいい!」と歓声をあげられます。知っていて来場された方の中には、この部屋から深刻な顔をし、ひとつひとつの詩をじっくり読んでいた方もいました。この部屋をサッと見ただけで暗闇の部屋に行かれ、その後、可愛い犬の写真展ではない、と気付かれたのか、戻ってただのいぬ。の部屋をじっくりと見るお客様も多くいらっしゃいました。
かわいいこいぬ。かわいらしいからこそ、ただかわいかっただけで、譲渡対象として死ぬまでの期間を延長されたこいぬ。彼らの将来は幸せなものになるかどうか、ここではまだわかりません。かわいい!と言った後でふと無言になってしまう。そんなあやうさ、せつなさがこの部屋にただよっています。
●闇の部屋
不運にも生き延びることができなかった90%の犬たち。保健所に収容された大部分である彼らがたどる運命が、この暗闇の部屋です。
ひたひたと近づいてくる死。人間の挙動を敏感に察知する犬は、目を背けたくなるような悲しい表情、またはあきらめの表情をしています。犬の瞳はほら穴のような暗さだったり、希望を見いだそうと必死に、悲しげに光っていたり。
人間に頼って生きるしか術のない犬たち。唯一の命綱である人間によって命を絶たれるというのは、あまりにも残酷な現実です。
ご覧になったみなさまも同じ気持ちでしょう。お客様の中には、「私は暗闇の部屋には入りません。死んでゆく子たちの顔を見ることはできません」と受付で言われた方もいます。暗闇の部屋には残酷な写真はありません。直接的な写真だけが本当のことを伝えるとは限らないのではないでしょうか。犬たちの表情だけで、悲しく残酷な現実は伝わると思います。
●光の部屋
こちらは、幸運にも生き延びた犬たちの、幸せな暮らしが見られる部屋です。
それは、保健所に収容された犬の約10%。本当に、本当に「幸運」な犬たちなのです。保健所から動物愛護団体に譲渡された彼らは、一時預かりボランティアさんのたっぷりとした愛情とぬくもりの中で少しずつ自分らしさを取り戻し、瞳にはおだやかな光を取り戻したころ、動物愛護団体がじっくりと探し、厳しい譲渡条件をクリアした新しい家庭へと巣立ちます。
私はこの部屋に入り、こらえていた涙が止まりませんでした。ラッキーとしか言いようのない、1/10の確率で生き延びた犬たち。その生はまぶしいくらい明るくキラキラしています。本当によかったね、という安堵の気持ちももちろんあるのですが。悲しそうな、訴えかけるような瞳をした暗闇の部屋の犬たちと、この穏やかな表情の光の部屋の犬たちに何の違いがあるのだろうか、と、憤りにも似た気持ちになりました。こんな残酷な「差」を作っているのは、悲しんでいる私も含めた人間なのだと思うと、やり切れなさでいっぱいです。けれども、その差を無くすことができるのもわたしたちなのだ、という事実が希望でもあります。穏やかな暮らしができる犬を一頭でも多くしてゆきたい、と思いを新たにしました。
●室内飼育について
光の部屋には、これでもかというくらい、室内でくつろいでいる犬の写真があります。ソファーに寝っ転がっていたり、チビッコとたわむれていたり。これには、犬を(猫もね)家の中で飼い、家族と一緒に過ごしてもらいたい、という願いが込められています。この犬猫の「室内飼い」については、島根動物愛護ネットワークが全力で訴えていることのひとつでもあります。光の部屋の幸せそうな犬たちを見ていただければ、家族と同じように、犬と部屋の中で暮らすということがお互いにとって幸せで楽しく、メリットが多いということをわかっていただけるのではないでしょうか。
●みんなでお絵描き
第1回目のただのいぬ。展に設置してあった「ただの掲示板」。島根にも登場しました。初日にはかわいいチビッコが大きく虹の絵を描いてくれただけでしたので、会期が終わっても隙間だらけだったどうしよう、と不安だったのですが。
予想以上にお客様がビッシリと書き込んでくださいました。勢いあまって床や壁まではみ出してしまったのはご愛嬌!です。書き込みを読んでみると、犬と暮らしたことがあってもなくても、皆それぞれに犬とのストーリーがあることがわかりました。悲しいもの、切ないもの、心あたたまるもの…
たくさんのストーリーが書き込まれていて、この掲示板を見ているだけで涙がこぼれてきます。
今後、様々なイベントで展示したり、広告に使ったりする予定です。
●島根ならでは
(有)松江木工所さまがわざわざ「ただのいぬ。展」のために製作してくださった、家具。
実は島根県は築100年以上の古民家を全国一保有している県なのです。しかし、その古民家を生かすことができずに、年間200棟前後が壊されています。何十年も家を支えてきた古材たち。傷もあれば割れもあります。それをうまく生かすことができないでしょうか。今回の家具たちは、壊され燃やされてしまう運命だった古材たちをリサイクルして製作されました。「命を繋いでゆく」という、ただのいぬ。展のコンセプトと何だか似ていませんか?この素敵な家具たちは大部分が売約済みに!あ、そうそう、暗闇の部屋の分岐部分、黒い壁や、通路となる白い壁も松江木工所さまに製作していただきました。
…ただのいぬ。展が終わって1週間経ちますが、なぜか遠い昔のことのように思います。なぜでしょう。でも、ただのいぬ。展の様子は焼き付いたかのようにくっきりと覚えているのです。この思い、来場された方の思いを次に繋げなければ、と強く思っています。これからも島根動物愛護ネットワークの応援をよろしくお願いします!
2008/04/23 - 21:36:26 -
ただのいぬ。展、見に行きました!
涙が止まりませんでした。
帰るときもずっと泣いてました。
家でもずっと泣いてました。
そのうち、自分が何故泣いてるのか、わからなくなりました。
私は最初、「暗闇の部屋」へ行きました。
そこが1番、思いに残っています………。
たんたんと並ぶ写真と、添えてある切ない詩。
時の流れが感じ取られました。
その技に圧倒され、その写真に切なくなり、涙を流しました。
私は全ての写真を見ました。
特に暗闇の部屋は、1つ1つの写真を、目に焼き付けました。
一緒に行った母は、逆に光の部屋がよかったと言っています。
感動したみたいですよb
平日に行って良かったですb人が多いので;
2008/06/30 - 22:03:31 -
ちょきん箱様
大変返事遅くなって申し訳ありません
「ただのいぬ。」展お越し頂きありがとうございました!
皆さんの心に何かを残せて、それが今後動物と人間との共生に繋がっていければとても嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。